
招待講演はDawes(TWI、イギリス)により、摩擦を利用した固相接合法として、A1合金板の突き合わせ継手への適用が期待されている、FSW(Friction Stir Welding)法の可能性が述べられた。従来、溶融溶接が困難とされてきたAl−Cu−Mg系合金およびAl−Zn−Mg系合金、またAl−Mg系合金のいずれに関しても、本法によれば、割れやボイドなどの欠陥がなく、歪み量も少ない継手が得られること、また機械的性質も引張強度が焼鈍材並に低下する場合はあるものの、曲げ性、疲労強度共に良好な継手が得られることが示された。
一般講演としては、摩擦圧接法による表面硬化肉盛りとコンクリート補強用高強度高炭素鋼鉄筋の突き合わせ接合の報告があり、いずれも著者らの提唱する摩擦入熱速度を用いた現象・性能の整理に基づいて、プロセス条件の最適化が試みられた。表面改質に関しては、プラズマ溶射に関する報告が3件あった。溶射粒子が基板に衝突する際のflattening現象に関して、PVD法による表面被膜を有する種々の基板を用いた系統的な実験により、基板の熱伝導度、濡れ性の重要性が指摘された。TiAlの低圧溶射被膜が、焼結バルク材と比べて、高温まではるかに高い硬さを持ち、さらに粉末送給ガスをN2とすることによって、いっそう硬化することが示され、金属組織学的検討が加えられた。プラズマ溶射被膜の超音波による非破壊評価が試みられ、被膜の特性および基板との界面接合強度が被膜表面反射率と界面透過率によって評価されることが示唆された。EB−PVD法による部分安定化Zr02の断熱被覆膜の形成が試みられ、従来法によるものと比べて優れた耐熱衝撃性を持つものが得られた。この要因として、膜厚方向に長く伸びた柱状晶からなる膜構造が指摘された。ダイナミックイオンミキシング法によるAlN膜形成過程の計算機シミュレーションが行われ、残留ガス中の02の混入を考えることによって、実験結果がよく再現されることが示唆された。
セッション A−2
スペシャルプロセス
豊橋技術科学大学 福本昌宏
名古屋大学 篠田剛
本セッションでは、特殊溶接(前半3件)および溶接関連の制御問題(後半4件)についての発表があり、ともに活発な質疑が交された。
中谷らは、クリーンルーム配管施工のためのステンレス鋼の溶接部の酸化膜の非生成の条件を雰囲気の露点が支配的要素であるとし、-60°C以下の露点雰囲気でティグ溶接すればよいことを報告している。さらにヒューム生成防止については、雰囲気調整チャンバー内で、吸引ノズルを電極近傍にセットし6.5m sec以上の吸引速度を与えればよいとを示している。野木らは、自由落下で得られる極微小重力でのアルミニウムのティグ溶接を試みている。この結果、極微小重力では気孔は溶接金属内にほぼ均一に分布し、またビード形成も均一であることを見いだしている。これは極微小重力下ではアルミニウム表面の酸化膜によるアークの緊縮が生じないためであると結論づけている。高林らは、プラズマ切断開始時のカソードでのアーク現象を観察し、さらに数値解析を行っている。この結果、アークはまず銅電極ホルダーとの間で点弧しさらに中央のハフニウム電極へ移る、この間の時間は1−2m secのきわめて短い時間に安定化することが明らかにされている。佐藤らは、スポット溶接の品質保証に対しニューラルネットワークおよびファジー推論を適用している。まず電圧−電流線図より得られる特性値を用い、ナゲット径等を出力単位
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